最近、こんな経験はありませんか。

スマートフォンで「この近くで、おいしいランチのお店ないかな」とChatGPTのようなAIに聞いてみたら、自分の知らなかったお店をすらすらと教えてくれた。あるいは「初心者におすすめの会計ソフトは?」と聞いたら、3つほど名前を挙げて、それぞれの特徴まで説明してくれた。

便利だなあ、と感じる一方で、経営者の方にこそ立ち止まって考えていただきたいことがあります。

その「AIがすらすら挙げてくれたお店」や「おすすめしてくれた会社」の中に、もし自社が入っていなかったとしたら…?

この記事では、ホームページを取り巻く「ユーザーの探し方」がどう変わったのか、そしてこれからのホームページに何が必要になるのかを、専門用語をできるだけ使わずにお話しします。

ユーザーの「探し方」が、静かに変わってきました

少し前まで、ユーザーが何かを探すときの流れは、こうでした。

GoogleやYahoo!の検索窓にキーワードを打ち込む。すると、関連するホームページがずらりと一覧で表示される。ユーザーはその一覧を上から眺めて、「よさそうだな」と思ったものをいくつかクリックして、自分で見比べて選ぶ。

つまり、ユーザーは「自分で一覧を見て、自分で選ぶ」のが当たり前でした。だからホームページ側は、その一覧のなるべく上のほうに表示されることを目指してきました。この「検索結果の上のほうに表示されるための工夫」のことを、専門的には“SEO(エスイーオー)”と呼びます。長年、ウェブ集客の中心にあった考え方です。

ところが、ここ最近、その景色が静かに変わってきました。

ChatGPTのようなAIに質問すると、AIは一覧を出すのではなく、「答えそのもの」をまとめて返してくれます。「おすすめは、A社・B社・C社です。それぞれこういう特徴があります」と、もう選んだあとの状態で差し出してくれるのです。

さらに、Google自身も検索結果の一番上に、AIがまとめた要約を表示するようになりました。ユーザーは、その要約を読んだだけで「なるほど、わかった」と満足し、もう下の一覧をクリックしない——そういうことが、現実に増えています。

ここで起きている変化を一言でいうと、こうです。

これまでは、ユーザーが「一覧の中から、自分で選んでいた」。これからは、AIが「ユーザーの代わりに、ある程度選んでしまう」。

ユーザーと自社のあいだに、AIという“案内役”が一人、入ってきた。これが、いま起きている一番大きな変化です。

いま、新しい「見つけてもらえない」が生まれています

前の章で、ユーザーと自社のあいだに、AIという“案内役”が一人入ってきた、とお話ししました。

この案内役は、とても優秀で頼りになります。けれど、少しやっかいな面もあります。なぜなら、ユーザーがホームページを直接見るより前に、この案内役が「どの会社を、どんなふうに紹介するか」を先に決めてしまうからです。

ここで、2つの困ったことが起こり得ます。

ひとつめは、自社がそもそも紹介されないこと。

ユーザーがAIに「この地域でリフォームを頼むなら、どこがいい?」と聞いたとき、AIがA社・B社・C社の名前は挙げたのに、自社の名前が出てこなかった——。こうなると、ユーザーは御社の存在に気づくことすらありません。

これは、昔の検索とは少し性質が違います。以前なら、検索結果の2ページ目や3ページ目でも、一覧のどこかには載っていました。ユーザーが熱心に探せば、たどり着く可能性は残っていたのです。ところがAIが「3社です」と答えを絞ってしまうと、そこに入れなかった会社は、最初からなかったことのように扱われてしまいます。

ふたつめは、紹介はされたけれど、間違った情報・古い情報で紹介されること。

たとえばAIが、何年も前の古い情報をもとに「あの会社は○○はやっていないはず」と説明してしまう。本当はとっくに対応しているのに、です。あるいは、定休日やサービス内容を実際とは違う形で紹介してしまう。

しかも厄介なのは、AIが自信たっぷりに、なめらかな文章で答えるところです。ユーザーは「AIが言っているのだから」と、その内容をそのまま信じてしまいやすい。自分が知らないところで、自社についての“間違ったうわさ”が、もっともらしく広まってしまうようなものです。

そして、ここがいちばん大事なところです。

これらは、これまでの「検索で上のほうに表示する」という工夫だけでは、防ぎきれません。極端にいえば、Googleの検索結果では今でも上位に出ているのに、AIにはまったく紹介されない、ということが起こり得るのです。順位とは別の、新しい「見つけてもらえない」が生まれている——これが、いま様々なホームページが直面している、新しい課題です。

では、どうすればこの案内役に、御社のことを正しく覚えてもらえるのでしょうか。

AIという案内役に、自社を「正しく覚えてもらう」3つの心がけ

ここまで読んで、「では、どうすればいいの?」と思われたことと思います。

むずかしく考える必要はありません。コツは、AIを「とても物覚えのいい、けれど自社のことをまだよく知らない案内役」だと思って、その人に自社のことを丁寧に教えてあげることです。新しく入ったスタッフに、お店のことを引き継ぐのと同じ感覚です。心がけは、大きく3つあります。

心がけ① 情報を、整理された形で伝える

人に何かを説明するとき、要点がバラバラに散らばっているより、「これは営業時間」「これは料金」「これはよくある質問」と整理されているほうが、ずっと伝わりやすいですよね。AIもまったく同じです。

ホームページの情報が、見た目だけ整っていても、中身がごちゃっとしていると、AIは「どれが何の情報か」を正しく読み取れません。逆に、情報が項目ごとにきちんと整理されていると、AIは迷わず理解し、ユーザーに正しく紹介してくれます。

「うちのサイトの情報、人にとっては読めるけれど、機械にとっては整理されているかな?」——この視点を持つことが、第一歩です。

心がけ② 「誰が言っているのか」を、はっきりさせる

同じ「この治療は効果があります」という一文でも、どこの誰が書いたかわからないページと、専門の資格を持つ人が、実名と経歴を明らかにして書いているページとでは、信頼度がまるで違います。これは人間の感覚そのままですが、AIも近年、この「誰が言っているのか」をとても重視するようになりました。

会社の正式な情報(社名・所在地・連絡先)がきちんと書かれている。記事には書いた人や監修した人の名前と肩書きがある。会社の実績や歴史が具体的に示されている。こうした「身元のたしかさ」が、AIに「この情報は信頼できる」と判断してもらううえで、とても大きく効きます。

心がけ③ あいまいな言葉より、具体的な事実を載せる

「豊富な実績」「高品質なサービス」——こうした言葉は、聞こえはいいのですが、AIにとっては中身のない言葉です。一方で、「創業25年」「これまで500件以上を担当」「○○市に対応」といった具体的な事実は、AIがそのまま受け取って、ユーザーに紹介できる“使える情報”になります。

抽象的なキャッチコピーを並べるより、数字や事実を一つでも多く載せる。これは、ユーザーの信頼を得るうえでも、まったく同じことが言えますね。

この3つは、どれも特別な小手先のテクニックではありません。「相手に、ていねいに、正直に、わかりやすく伝える」という、商売の基本そのものです。AIの時代になって、その基本がより正直に結果へ反映されるようになった、というだけのことなのです。

とはいえ、慌てなくて大丈夫です

ここまで読んで、「うちのサイト、大丈夫だろうか」と少し不安になられたかもしれません。でも、どうか慌てないでください。お伝えしたいことが、3つあります。

1つめ。これは、今日明日で全部やらなければいけない話ではありません。ユーザーの探し方が変わるのには、まだ時間がかかります。今あるホームページが、急に何の役にも立たなくなるわけではありません。大切なのは、「こういう変化が起きている」と知っておくこと。それだけでも、これからの判断が変わってきます。

2つめ。怪しい近道には、気をつけてください。「AIで必ず1位に表示させます」といった、うまい話を謳う業者が出てくるかもしれません。けれど、AIの紹介は日々変わるもので、誰かが「必ず1位」を保証できるものではありません。地道に、正しく、信頼される情報を積み重ねていく——遠回りに見えて、これが結局いちばん確実な道です。

3つめ。まず最初の一歩は、「今、自分のサイトがAIにどう見られているか」を知ることです。これは、ご自身でもできます。ChatGPTのようなAIに、自社の会社名や、自社の業種とお住まいの地域を入れて、「この地域で○○なら、どこがいい?」と聞いてみてください。御社は出てくるでしょうか。出てきたとして、その紹介は正しいでしょうか。そこから、すべてが見えてきます。

ホームページは「育てていくもの」です

ホームページは、一度作ったら完成、というものではありません。ユーザーの探し方が変わり、世の中の道具が変われば、ホームページもそれに合わせて、少しずつ手を入れていく必要があります。

私たちは、ホームページを「作って終わり」にするのではなく、公開したあとも、時代の変化に合わせて一緒に育てていくもの、と考えています。今回の「AIに正しく見つけてもらう」という話も、その“育てていく”営みの、新しい一歩です。

もし、「うちのサイトは今どう見られているんだろう」「何から手をつければいいんだろう」と気になられたら、どうぞお気軽にご相談ください。まずは、自社サイトが今どう見られているかを一緒に確認するところから、お手伝いできます。